主に墓石などで用いられる、今治市大島で採掘される『大島石』
水を吸収しにくく、長く光沢を保つ特徴がある大島石は、古くから愛媛県内外の建造物などにも使われています。
産業として発展した歩みと歴史について、詳しくご紹介していきます。

大島石の歴史と産業の始まり

大島石の歴史は古くからあり、鎌倉時代の末期(1326年頃)に今治市大島の四国19番札所『善福寺』の境内にある宝篋印塔(ほうきょういんとう)が建造されたという記録があります。
産業として採掘が始まったのは、明治6年(1873年)に皇居を改築する際に大島石が使用されたことがきっかけと言われています。
さらに、明治27~28年(1894~1895年)には、日清戦争に向けて呉軍港築造工事でも使用されることになり、大島石の大量採掘が行われるようになりました。

また表面の石を削り取るだけの少量の生産から、火薬の使用による採石作業の改良や地中深くの石を取り出す技術の登場によって、大量生産が可能な地域産業へと発展しています。

大島石の搬出

(写真提供:今治市村上水軍博物館)

流通の整備から搬出量の増加へ

採掘した大島石は、採石場から海岸へ運び、船に積んで搬送していました。
明治29年(1896年)には、出資者の一人である木原正博により、石を運ぶための『マタダルマ』という運搬具が開発され、島内の道路が整備されていき、搬出量が増加して行きました。

マタグルマ

(写真提供:今治市村上水軍博物館)

また明治39年(1906年)には、今治市から大島へ移住してきた長井兼太朗が出資したことから、波止場の築造が行われ、船積みの環境が整備されていったのでした。

石船現在の早川港あたり(明治時代)

需要の変動と外国材の価格競争による生産量の減少

大島石が産業として発展した明治6年(1873年)は、建築資材として使われていました。
しかし昭和30年代頃に入るとセメント産業の進出により、墓石や神社などへ使用されることが主流となり需要は変化していきます。
また大島石は採掘した石の1割しか採取できない高級な石材であることから、中国などの外国材との価格競争などを背景に、取扱量は明治時代と比べて減少していったのでした。

墓石 青山 今治店

特徴と主な加工品

大島石は、花崗岩(かこうがん)というマグマが冷え固まってできた火成岩の一種であり、含まれる石の粒が細かいのが特徴です。
細粒質の石は水を吸収しにくい性質があり、湿気や梅雨がある日本の風土にふさわしい石とされています。
全体を見ると灰黒色が均等な色合いを持ち、風化しにくく光沢が落ちにくいため、美しさを保つことができます。
長い年月を経ると青みがかった輝きを放つようになることから『青みかげ』とも呼ばれています。

大島石2

歴史の話で触れた通り、セメント産業が進出する前は、建造物などで使用されていましたが、現代では主に墓石に加工されています。
ただし、加工の作業は大島ではほぼ行われておらず、採掘した石を香川県や海外の加工会社に原材料として輸送しています。

大島石が使われている代表的な建築物や観光スポット

大島石が使われている代表的な建築物は、松山市道後の飛鳥乃湯泉の又新殿に設置された湯釜や、同市にある愛媛県武道館の外壁などがあります。
大三島にある道の駅や産出地である大島の観光地でも使われていますので、代表的なスポットを3つご紹介します。

サイクリストの聖地

大三島の多々羅しまなみ公園内にある、サイクリストの聖地。
多々羅大橋としまなみの海が映えるスポットにあるモニュメントは、大島石が用いられています。
一番上の石は自転車のサドルを、2つの穴は二輪のタイヤをイメージして作られています。

サイクリストの聖地_大三島

宮窪石文化運動公園

今治市宮窪町にある「宮窪石文化運動公園」
大島石の歴史や文化に触れることができる石文化伝承館を始め、野球場や多目的グラウンドなどの公共運動施設がある公園です。

石文化伝承館

施設は全て大島石が用いられ、多目的グラウンド周辺には、大島にゆかりのある村上水軍・海賊の石造作品が並びます。

宮窪石文化運動公園_大島石

村上水軍博物館

「村上水軍博物館」は、14世紀中期からしまなみの島々で活躍した一族、村上水軍の歴史や関連した遺跡が展示されている施設です。
入り口に威厳ある姿勢で佇む、村上海賊を表現した像や石垣は、大島石で作られています。

村上水軍博物館外観

また村上水軍の当主である村上武吉の娘を主人公にして書かれた、小説「村上海賊の娘」が2014年に第11回本屋大賞を受賞し、記念レリーフが設置されています。
こちらも大島石が使用されており、記念撮影のスポットとして注目を集めています。

村上水軍博物館記念リリーフ

大島石協同組合ホームページ

今回の記事作成で、取材のご協力をいただきました「大島石協同組合」様のホームページはこちらです。

伊予の銘石「大島石」